◆はじめに
最近、皆さんどうですか?…え?何のことかって?そりゃ…
2型糖尿病の治療に関してですよ~、え?何?うざいって?ごめんて
はい、どーも、とある勤務医ですよ。
2型糖尿病の治療薬、最近色々ありますよね~。
自分はあまり詳しく言えませんが、専門的に診てきたので大体はわかってるつもりです😼
SGLT2にGLP-1、DPP-4にSUに…とりあえず結構種類ありますよね。
インスリンも含めると超速効型やら持効型やら…
しかもガイドラインは一応あるけど、実診療の場では「で、どうすんの??」ってなってませんか?
大学病院では血糖悪い→即糖尿病内科へってテンプレ化してるから、あんまりみんな治療しないんですよね。
多分、市中病院とかでも「まぁとりあえず、元々処方されてる薬を増量してみるか…」ぐらいの事が多いように思います。
この記事では
「どのタイミングで、どんな患者に、何を使うか」という「とある勤務医の糖尿病薬の選び方」をまとめてます。
もし参考になれば嬉しいです、
◆まず前提として…ガイドラインはあるけど…
糖尿病治療ガイド、ありますよね~。私ももちろん毎年アップデートされてる持ってますよ~。
ちなみにこんなのです ⬇
正直、この本…わかりやすいはめっちゃわかりやすいです!
目標のHbA1c値や各治療薬の使い方など、結構しっかり書いてくれてます。
「まだちゃんと勉強したことないし…ちょっと勉強してみるか」って研修医や専攻医には割とおすすめです。
しかし、実臨床の場では本に書いてる事だけでは必ず詰まります。例えば…
- 同じHbA1cでも、患者の背景が全然違う
→ 高齢か若年か、肥満か痩せか、基礎疾患は…💣 - 「適応がある」といって、全部出せる訳ではない
→ 肥満でちょっと悪いぐらいやからメトグルコかな~…💣
など、例を挙げたらきりがありません。
そうなんです。
薬の作用や副作用は聞く機会は多いけど、実際の選び方は意外と誰も教えてくれない…なんでやねん…。

◆各薬剤の特徴
正直ここで書くよりもさっきの参考書みたり、ネットで調べる方がわかりやすいと思うけど
一応載せときます。
薬剤 | 主な適応と特徴 | 注意 |
---|---|---|
SGLT2阻害薬 | 肥満 心保護・腎保護・肝保護など | 脱水・感染・高齢 正常血糖ケトアシドーシスなど |
GLP-1受容体作動薬 | 肥満・過食 心保護・腎保護など | 胃腸症状など |
DPP-4阻害薬 | 高齢者・副作用すくない | 単剤では弱い |
SU薬・グリニド | 血糖低下作用強い | とにかく低血糖リスク高い |
チアゾリジン | インスリン抵抗性強い | 浮腫・心不全悪化など |
α-GI | 食後血糖の上昇強い | 腹部膨満感・下痢など |
ビグアナイド | インスリン感受性低い | 乳酸アシドーシス 腹部症状など |
イメグリミンのツイミーグは使ってる人皆無やから割愛してます!
もっと詳しく知りたい人は個人で調べてね~。(間違ってたらごめんね)
☆自分なりの治療フローチャート
先ほどの糖尿病治療ガイドにもフローチャートは載ってますが…正直わかりにくいんですよね…。
ですので、糖尿病が専門外の人にも参考になればと、自分なりのフローチャートを作ってみました!よければどうぞ~。
🔍 Step1|まずは基礎疾患のチェック!
- 高度貧血、肝硬変、腎不全など
→ そもそもHbA1cが“信用できない”状態です。見せかけで高値や低値がでるので。
👉 こういう場合は迷わず専門医紹介でOK!
🎯 Step2|患者の年齢・認知症・併存疾患から目標HbA1cを決める!
年齢 | 基礎疾患・認知症 | 目標HbA1c |
---|---|---|
65歳以下 | 基礎疾患なし | 6.0%未満 |
65歳以下 | 重症基礎疾患あり | 7.0%未満 |
65歳以上 | 重症疾患なし & 認知症なし | 7.0%程度 |
65歳以上 | 重症疾患あり or 認知症あり | 最大8.5% |
👉 細かく言えばもっと色々とありますが、まずはこれくらいの目安でOK!
もっと知りたい人はこちら → 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について|一般社団法人日本糖尿病学会
🍽️ Step3|まずは食事・運動療法!
- HbA1cがまぁ目安としては9.0%以下なら、
→ 2〜3ヶ月間は薬なしで生活習慣改善をトライ!

これで下がれば万々歳! やったー。え?下がってない?なら次のStep4や!
注意:ここ数ヶ月以内での急激な悪化
増殖前網膜症以上の網膜症
高度の糖尿病性自律神経障害
→これらがあると運動療法はしない方がいいので、もしあった場合は専門医へ紹介!
💊 Step4|薬物療法の開始(体型でざっくり選ぶ)
体型 | 使用薬剤候補 |
---|---|
肥満〜普通体型 | SGLT2阻害薬 or ビグアナイド or DPP-4阻害薬 |
痩せ型 | ビグアナイド or DPP-4阻害薬 |

▶ いきなりGLP-1製剤を導入する先生もいるけど、慣れてないなら上記から始めるのがベター。
🔄 Step5|それでも目標未達なら薬剤追加
- Step4で使っていない薬剤を足していくだけでOK!
- 例:SGLT2阻害薬 処方 → DPP-4 追加
DPP-4阻害薬 処方 → SGLT2阻害薬 or ビグアナイド 追加
👉 無理に複雑なことを考えず、「未使用薬を足す」基本戦略でok!
🧠 Step6|さらに調整する
- HbA1cが8%ぐらいまで下がってきたけど、そこからなかなか下がらない…
そんなときは次の一手や!- ビグアナイドを500mgずつ増量
- DPP-4阻害薬 → GLP-1製剤に切り替え
- 痩せ型でSGLT2未使用なら追加
👉 でもこの段階で一度、専門医紹介を考えるのが無難。(この段階で紹介されて嫌な顔する人はあんまりいない…はず)
🧨 Step7|それでも自分で治療したい場合は…
ここから先はちょっと細かくなるYO
血糖パターン | 使用薬剤例 |
---|---|
空腹時高血糖(空腹時採血で確認) | 少量SU(グリメピリド0.5mgから) 持効型インスリン |
食後高血糖(随時採血で確認) | α-GI or グリニド薬 or 上記の合剤 超速効型インスリン |
インスリン使用にて血糖測定のコストとれる。けど、そこまでするとその血糖を見て自分でインスリン量の調整などしないといけなくなってくるよ。
インスリンやSU薬など使用すると、やはり低血糖のリスクも上がってくる。
→なので、Step6の段階で専門医に紹介してください!その方が紹介された方も楽やから…
◆【実際のケースと選び方の例】
● Case 1:30代男性・肥満(BMI32)・HbA1c 9.1%・重症基礎疾患なし
→間食・過食あり、まずは食事・運動療法開始!
→3ヶ月後の再検でHbA1c8.0%に。でもまだ高く、肥満もあるのでSGLT2阻害薬 開始!
→3ヶ月後 HbA1c 7.0% 6ヶ月後 7.0% 目標は6%なのでまだ未達成 ビグアナイド 開始!
→3ヶ月後 HbA1c 6.5% 6ヶ月後 6.5% まだ未達成 メトグルコ増量!
→3ヶ月後 HbA1c 6.0% 達成!
● Case 2:80代女性・痩せ型(BMI17)・HbA1c 7.4%・重症基礎疾患なし
→ 間食や過食はなし。目標HbA1cは7%…もうちょっとやな…DPP-4阻害薬追加!
→3ヶ月後 HbA1c 6.8% 達成!
● Case 3:70歳男性・普通体型(BMI24)・HbA1c 8.2%・重症基礎疾患あり
→ 高齢者の重症基礎疾患(脳梗塞)ありなので、目標HbA1cはMAXで8.5%(細かくは略)
→DPP-4阻害薬 開始!
→3ヶ月後 HbA1c 8.4% 未達成なのでビグアナイド 追加!
→3ヶ月後 HbA1c 8.6% 未達成かつ全く低下なく、むしろ上昇傾向
→専門医に紹介!(実際はインスリン分泌低下症例であり、インスリン治療となる)
● Case 4:引き継ぎ外来症例 80歳女性・痩せ型(BMI15)・HbA1c 5.8%・重度認知症 内服薬(アマリール朝3mg+トラゼンタ5mg+ジャディアンス10mg)
→ 最後はちょっと別角度からの症例 引き継ぎ外来症例がこんな場合…一番困りますよね…
→ 高齢の認知症…これはHbA1cは8.5%でいいはず…なのにこんなにSU薬など…おかしいな…
→アマリールをまず減量していく!3mg→1.5mg→1mg→0.5mg→オフ
→オフ後のHbA1c 7.8% 達成!
後日談:尿回数多く、尿漏れも大変とのことでジャディアンスもオフに!
→3ヶ月後 HbA1c 8.0% 尿漏れも減って万々歳!
と例を挙げたらきりがないのでこのへんで^^
◆まとめ:薬に選ばされるのではなく、薬を選ぶのだ…ドヤァ
治療薬選びで大事なのは、
「この人にとって一番いい選択って何やろか?」ってのを考えること。
もちろん治療を強化しまくって血糖値をよくするのも大事なこと。
でもそれ以上に、その患者一人一人に合った治療を提案するのが医師の役割と思ってる。(どや顔)
●最後に…
と、とある勤務医のワイがおすすめする糖尿病の治療フローチャートでした~。
もしもっと細かい調整や方針が知りたい!って人は…大病院の糖尿病内科へ入局や!笑
ほな、また!
コメント